館主雑考 |
今日で 吉野山の超トップシーズンが終わりました。(まだ、忙しいのは続きますが・・・)
今年は、例年よりかなり早く咲き始めました。3月20日ごろから 桜が咲き始めて、今 奥千本が 見頃になっています。今年は 下千本・中千本の満開が長く 見頃が続きました。

平成22年4月13日撮影【下千本は散りました】(昭憲皇太后御野立所より)
<春吉野山と館主>
桜が咲いて、散っていきます。 この春の間に 何人のお客様と出会ったことでしょう。何人のお客様に納得して頂いたことでしょう。 それは桜だけでなく、お宿だけでなく、・・・
この春を手伝ってくれたスタッフも、もうすぐ それぞれの所へ戻っていきます。今年が初めてのスタッフも、毎年の春のスタッフも、それぞれが頑張ってくれました。 もちろん 中心になっている通年のスタッフも、頑張ってくれました。
一年を通じて いつも 色々な人との出会いが お宿にはあります。 しかし 吉野山の春に出会った人たち(お客様も、道を歩く人も、スタッフも、吉野山の住人も、)との、なにがしかの関係が、私にとっては いつもとは違った感覚を持ちます。それは良い事や悪い事も含めて、・・・・・
その出会いに 感動したり、共感したり、そして その出会いを、幸せに感じたりさえすることがあります。
そして その それぞれを大切にしたいと考えます。


<館主と春>
私は 春は好きではありません。なぜなら忙(心を亡くす)しすぎて 心が伝わりにくくなります。 しかしお客様は千本桜を求めて、全国から、押し寄せてきます。大変ありがたいことなのですが、・・・・・
私が幼い頃 一人で寂しく「満開の桜の下で」遊んでいたのを思い出します。
そこには いつも冷やかな目で、花見をしながら酒盛りをする大人を見ていた”私”がいました。
私は「吉野山の春」は好きではありません。
〈吉野山の桜と館主〉
学生の頃 東京の四ッ谷の土手で「新歓コンパ」の酒盛りをしていたとき 「こんなにきれいな桜があるのだ~~」と 大いに感心したものでした。 その時私は 吉野山の桜の素晴らしさを知らなかったのです。(葉っぱも一緒に出てくるような山桜より 花びらがいっぱいの染井吉野の方が 断然きれいだと思っていました)
サラリーマンを終え 家業に戻ったとき 東京から来たお客さんに「山桜で申し訳ないなぁ・・・」と うしろめたく思っていました。 しかし 来館したお客さんが皆 「すばらしかった!」 「すばらしかった!!」 「すばらしかった!!!!」と・・・・・・・・。
「どこが どういうふうに すばらしいのか?」 忙しい旅館を抜け出し、吉野山を初めて散策、・・・
谷越えに下千本の昭憲皇太后一目千本、つづら折りの下千本七曲がり、正面に中千本、右上に上の千本、の吉水神社一目千本 花矢倉からの見下ろす一目千本 大塔の宮上千本、回遊式に山中を散策する奥千本 上を見ても、下を見ても、右を見ても、左を見ても、前を見ても、後ろを見ても、どこを見ても、どちらを見ても、 桜・桜・さくら・さくら・・・桜・桜・桜・さくら・さくら・・・・さくら・さくら・・・・・・・。 このとき「バラやチューリップのように散れ」と 言われても死ねないが、「桜のように散れ」と言われれば、死ねるような気にさえさせる吉野山の桜。 西行法師が桜をこよなく愛した理由がわかるような気がします。
「ねがわくば 花の下にて 春死なん そのきさらぎの もち月の頃」 西行
「吹く風の 花を散らすと見る夢は 醒めても胸の 騒ぐなりけり」 西行
一本の山桜ではなく、3万本の山桜が咲き誇るとやはり「吉野山は日本一の桜の名所」と、初めてお客さんより気づかされました。
「吉野山の桜」は我々の「心」と感じました。

<吉野山と桜>
朝が来れば夜が来ます。夜が来れば朝が来るように、冬が来れば 春が来ます。
春が来れば、桜の花が咲きます。何もせずほっておいても・・・・
毎年、毎年、・・・・の、はず・・・
今 吉野山の桜が 危機を迎えています。 今 我々が、この千年以上続いた「桜の吉野山」を「神々が宿る吉野山」を、まもる立場になっています。
昨年の サマースクールで 印象に残っている言葉が
「地球を大切にあつかいなさい!
それは親から もらったものではないですよ、
未来の子供たちから あずかったものなのです。」
何が何でも 未来の子供たちに 「吉野山」を 渡さねばなりません。


<今日以降の吉野山>
下千本、中千本の少しの八重桜は 今 咲き始めています。 しかし、観光の方は、今日を境に激減し いつもの吉野山の顔に戻ろうとしています。
<今年の館主>
館主の長男は 茨城大学(国立後期試験)に現役で入学しました。( !(^^)! バンザーイ)
バタバタと入学手続きや住居を探していたときは何とも感じなかったが いざ茨城に行ってしまうと・・・・
いつも近くにいた子が、いなくなると・・・・
今年は 館主が 子離れする年です。
平成22年4月15日
館主 雑考

来年は どんな春でしょう。
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